株式に限らず、投資の世界には「リスク」がつきものです。リスクをゼロにすることはできませんが、ある程度小さくすることは可能です。ここでは、リスクの意味や、それを小さくする「分散投資」について解説します。
一般人の人からすると、投資での「リスク」は「値下がりする危険性」というようなイメージではないでしょうか。日常生活でリスクと言えば、事故などに合う危険性のことですので、投資リスクも同じように考えるのは当然かも知れません。
投資の世界でも、そのような意味で「リスク」という言葉を捉えることもあります。ただ、一瞬のリスクとは違って、「値動きのブレの大きさ」のことを表すのが普通です。例えば、「リスクが大きい」というと、「値動きが激しくて、大きく損する可能性も高ければ、大きく儲かる可能性も高い」ことを指します。
図1と図2はある株式に投資した時に、将来の利益率がどのような確立で出るかを予想したものです。図1より図2の方が利益率のブレが大きくなっていますので、図2の株式は図1よりリスクが高いことになります。
「ハイリスク・ハイリターン」 という言葉を聞いたことがあると思います。高いリターンを得るためには、高いリスクを取ることが必要だという意味です。リスクの大きいものに投資しない限り、大きなリターンを得ることはできません。
「ローリスク・ハイリターン」は、通常はありません。ただ一つの銘柄に投資するのではなく、複数の銘柄に投資すれば、ある程度はリスクを軽減することができます。このように、複数の銘柄に投資することを、分散投資と呼びます。
例えば、A、B、Cの3社がある場合、A社だけの投資では、そのA者が倒産してしまえば資産はすべて紙くずになってしまいます。しかし、3社に分けて投資しておけば、A社が倒産してもB社とC社の分は残ります(図3)。
もっとも、リスクを下げると、リターンも小さくなってしまいます。例えば、A社の株価が2倍になってB,C社が変化なしだとすると、A社に集中して投資した場合は資産が2倍になりますが、3社に分散投資の場合は4/3倍(=2/3+1/3+1/3)にしかなりません。
図3.分散投資するとリスクが小さくなる
株式投資のリスクは、大きく分けると「市場リスク」と「非市場リスク」に分けられます。
市場リスクとは、その市場全体が持っているリスクのことです。例えば、景気が良くなれば株式市場は全体的に良くなり、逆に景気が悪くなれば市場全体が悪くなります。このように、市場が全体的に変動することによるリスクが市場リスクです。
一方非市場リスクは、銘柄毎の個別のリスクを表します。例えば、ある企業が何か画期的な新製品を発表すると、市場全体が悪くても、その企業の株価は上昇することがあります。
逆に、何か悪材料が出ると、市場全体が良くてもその企業の株価は下落することがあります。このようなリスクが非市場リスクです。個々の銘柄のリスクは、市場リスクと非市場リスクを合計したものです(図4)。
分散投資を行って銘柄数を増やすと、非市場リスクが打ち消しあって徐々に減っていきます。そして、手打ち銘柄全体のリスクは、最終的には市場リスクに近づくことになります(図5)。
ちなみに、20〜30銘柄に分散投資すれば、手打ち銘柄全体のリスクは市場リスクにかなり近づきます。
図4.個々の銘柄のリスクは市場リスクと非市場リスクの合計
図5.分散投資すると手持ち銘柄全体のリスクは市場リスクに近づく
分散投資すれば リスクを下げることができますが、問題点もあります。
まず、「分散投資をするには資金がたくさん必要になる」ということです。日本の株式市場では、1銘柄を買うだけでも数万円〜数十万円のお金が必要です。最近では投資単位を下げる銘柄が増えていますが、それでも複数の銘柄を買おうと思えばかなりのお金が必要になってしまいます。
また、「分散投資するには時間もたくさん必要」です。良い銘柄をいくつか選ぶには、その研究に時間をかけることが必要になります。
このように、お金と時間が必要なことから、個人投資家が銘柄を使って分散投資を行うのは、なかなか難しいと言えるでしょう。
個人投資家が分散投資を行うには、以下のような方法が考えられます。
●少額で投資できる銘柄を探す
以前は、個別銘柄を買おうとすると、最低でも数十万円が必要なことは普通でした。しかし、株式投資を個人投資家にとってより身近なものにするために、東証は各企業に売買単位を引き下げることを要請しています。
このような流れの中で、売買単位が引き下げられたり株式分割が行われたりして、少額から投資できる銘柄が増えていきました。
例えば、10万円以内で買える銘柄から主なものをあげると、表1のようなものがあります。こういった銘柄を組み合わせることで、数十万円程度の資金でも分散投資を行うことができます。ただし、銘柄選択には十分な吟味が必要なことは、言うまでもありません。
表1.10万円以内で買える銘柄の例(2005年1月16日現在)
|
銘柄(証券コード) |
株価(円) |
単元(株) |
最低投資金額(円) |
| ニッシン(8571) |
287 |
100 |
28,700 |
| USEN(4842) |
3,800 |
10 |
38,000 |
| 日本水産(1332) |
500 |
100 |
50,000 |
| スターバックスコーヒージャパン(2712) |
56,800 |
1 |
56,800 |
| スカイマークエアラインズ(9204) |
669 |
100 |
66,900 |
| アコム(8572) |
7,020 |
10 |
70,200 |
| SBIホールディングス(8473) |
84,000 |
1 |
84,000 |
| ジュピターテレコム(4817) |
92,400 |
1 |
92,400 |
| スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(4795) |
94,000 |
1 |
94,000 |
●ミニ株を使う
よく知られている 方法としては、「ミニ株」を使うことがあげられます。ミニ株は通常の売買単位の10分の1で売買できるもので、一部の証券会社で取り扱われていますあ(表2)。なお、ミニ株は通称で、正式には「株式ミニ投資」と呼びます。
通常1単元の株数だと数十万円が必要な銘柄でも、ミニ株なら10分の1の数万円程度で買うことができますので、数十万円程度の資金があれば、複数銘柄への分散投資も可能です。
ただし、ミニ株には以下のようなデメリットがあります。
1.指値注文ができず、注文の翌営業日の寄付の値段で売買される
2.リアルタイムの取引をすることができない
3.1株単位の銘柄は売買することができない
4.単元株の売買に比べて手数料が若干割高
5.証券会社によっては、取り扱われている銘柄が少ない場合がある
なお、ミニ株と似た商品として、カブドットコム証券の「プチ株」やイートレード証券の「S株」があります。プチ株/S株ともに、1株単位で売買できる商品です。ミニ株同様の制限はありますが、ミニ株以上に少額から投資できるので、分散投資に利用できます。
表2.株式ミニ投資を扱っている主な証券会社
|
会社名 |
野村證券 |
大和証券 |
日興コーディアル証券 |
三菱UFJ証券 |
マネックス証券 |
リテラ・クレア証券 |
●ETFを使う
ミニ株などを使うと、資金面の問題はある程度クリアできます。しかし、「銘柄を選ぶ難しさ」を減らすことはできません。そこで、「銘柄を選ばずに、市場平均(日経平均株価やTOPIXなど)に連動するような商品を買う」というのも考え方です。
それが、「ETF」(exchange traded fund、株価指数連動型上場投資信託)という商品です。これは、日経平均やTOPIXなどとほぼ同じ値動きをするように運用される投資信託ですが、投資信託といっても株式市場で取引されていますので、一般の株式と同じように売買できます。表3のようなETFが上場されています(業種別指数型を除く)。
日経平均連動型は10株単位、TOPIX連動型は100株単位で買えます(一部、1000株単位のものもあります)。当サイト作成時点では、日経平均株価が16,000円台、TOPIXが1,650ポイント前後ですので、いずれも16〜17万円程度で市場平均全体を買うことができるわけです。
ETFを使えば、比較的少額で分散投資が可能になるメリットがあります。また、前述したように銘柄選びの難しさがなくなり、市場全体の動向を見ればよくなりますので、それもメリットの1つでしょう。さらに、複数の銘柄を売買すると手数料が高くなりますが、ETF1つに絞れば手数料を抑えられるというメリットもあります。
ただ、ETFは市場全体を買う形になりますので、良い銘柄も悪い銘柄もすべて買ってしまうことになります。そのことは頭に入れておく必要があります。
表3.主なETF(業種別指数型を除く)
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連動対象の指数 |
証券コード |
名称 |
取引所 |
| 日経平均株価 |
1320 |
ダイワ上場信託−日経225 |
大証 |
|
1321 |
日経225連動型上場投資信託 |
大証 |
|
1330 |
上場インデックスファンド225 |
東証 |
| TOPIX |
1305 |
ダイワ上場投信−TOPIX |
東証 |
|
1306 |
TOPIX連動型上場投資信託 |
東証 |
|
1308 |
上場インデックスファンドTOPIX |
東証 |
●投資信託を使う
さらに少額で分散投資をする方法として「投資信託」があります。投資信託とは、多くの投資家から資金を集めてそれをプロが運用し、利益を分配する金融商品です。様々な商品がありますが、株式で運用する投資信託が中心です。
たいていの投資信託は、1万円程度から購入することができ、ETFやミニ株と比べてはるかに安いのがメリットです。一方株に比べて販売手数料が高い、リアルタイムの売買ができない、指値ができない、証券会社によって取り扱われている銘柄が違うことなど、株とは違った面が多いのがデメリットです。
なお、「インデックスファンド」といって、日経平均株価等の指数に連動しつつ、1万円程度で買える投資信託もあります。「ETFのような商品を少額で買いたい」という場合に、インデックスファンドを検討するとよいでしょう。
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