ファンダメンタル分析では企業のさまざまな情報を分析しますが、その第一歩として、損益計算書の情報を元にして、企業の業績を調べることからスタートします。
企業の業績を見る上で、売上と利益の2つが重要です。
売上や利益が伸びている企業ほど、株価も伸びると考えられます。逆に、売上や利益が右肩下がりになっているような企業の株は、買うべきでないと言えます。
売上は、商品や製品を販売して得たお金の総額を表します。人件費や広告宣伝等の経費は一切考慮していない金額です。一方の利益は、売上からさまざまな経費などを引き、売上以外の収益を加えた金額になります。
1年毎の売上や利益の情報は、「損益計算書」にまとめられます。企業は毎年期末に決算を行いますが、それからおおむね3ヶ月すると、決算が好評されます。決算の書類を総称して「財務諸表」と呼びますが、損益計算書はその中の1つです。
過去の売上や利益、将来の決算予想などの情報は、会社四季報や日経会社情報などの書籍から得ることができます。例えば会社四季報であれば業務欄に売上や利益の情報が掲載されています。また金融情報サイト等からも入手できます。
企業の決算には「単独決算」と「連結決算」があります。単独決算はその企業1社だけです。一方連結決算は、子会社や関連会社と合算した決算です。
連結決算では、親会社と子会社の間の取引は総裁します。例えば、古くなった在庫を子会社に押し付けた場合、単独決算では親会社の売上になりますが、連結決算では売上になりません。
このように、連結決算は企業グループの全体像をより正確に表します。したがって、単独決算と連結決算のある企業の場合、連結決算の数値を見るようにします。
会社四季報で業績の部分を見ると、左端に「連」や「単」などの文字があります。「連」は連結決算、「単」は単独決算を意味します。なお、左端に「中」とある行もありますが、それは中間決算(半年間の決算)を意味します。
会社四季報などで企業の業績をみると、利益にいくつかの種類があることがわかります。それらの意味は以下のようになります。
●売上
売上は、収益の基本となる数字で、商品や製品、サービスを販売して得たお金の総称です。人件費や広告宣伝費その他経費を一切考慮していない金額です。
●営業利益
営業利益は、企業が営業活動をして得た利益のことを言います。具体的には、以下のような式で計算します。
営業利益=売上−売上原価−販売費・一般管理費
売上原価とは、商品や原材料を仕入れるのにかかった費用のことです。また、販売費・一般管理費には、人件費、広告宣伝費、光熱費など、企業が営業活動をする上で必要な経費が含まれます。
営業利益は企業の本業による利益を表しますので、営業利益が伸び悩んでいるようだと、その企業の将来の伸びは期待しにくいと考えられます。
ちなみに、売上から売上原価を引いた金額のことを、売上総利益または、粗利益(あらりえき)と呼びます。したがって、営業利益は以下の式で表すこともできます。
営業利益=売上総利益(粗利益)−販売費・一般管理費
図1.営業利益の考え方
●経常利益
経常利益は、次のような式で求められます。
経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用
営業外収益/営業外費用とは、営業活動以外のことから出る収益や損失で経常的に(毎年)あるものです。
例えば他の企業にお金を貸してその利息を得たり、他の企業から配当金を受け取ったりした場合、それは営業外収益になります。一方、他の企業からお金を借りてその利息を支払ったりした場合、それは営業外費用になります。
なお、経常利益は「けいじょうりえき」と読みますが、「けいじょう」だと「計上」と間違える場合があります。そのため経常利益を「けいつねりえき」と呼ぶこともあります。
図2.経常利益の考え方
| 売上原価 |
| 販売費・一般管理費 |
| 営業外費用 |
| 経常利益 |
|
|
●当期純利益
もう1つ重要な利益として「当期純利益」があります。当期純利益は以下の手順で計算します。
税引き前利益=経常利益+特別利益−特別損失
当期純利益=税引き前利益−税金(法人税等)
特別利益/特別損失は、その年だけの一時的な利益や損失を指します。
例えば昔から保有している広大な土地があり、それを買ったときの値段(薄価)が非常に安いとします。その土地を売却すると、薄価と時価の差が利益になりますが、土地の売却は毎年あるわけではなく、一時的なもので、この利益は特別利益になります。
一方、リストラで一時的に従業員を大幅に解雇した場合、1度に多額の退職金を支払うことが必要になります。そのような損失は特別損失になります。
当期純利益は、株主に対する配当や、役員への賞与などに使われます。また、それらを引いて余ったお金は、将来に備えて企業に積み立てられます。したがって、当期純利益も重要な利益で、当期純利益が伸びているかどうかもチェックすべきポイントです。
ただ、前述の式から、多額の特別利益/損失があると、当期純利益が前年に比べて大きく変動します。当期純利益を見る際には、特別利益/特別損失の額やその内容も見るようにします。
なお、売上から当期純利益を求める手順を図にすると図3のようになります。
図3.当期純利益を求める手順
●1株あたり利益
最後に、「1株あたり利益」もよく使われます。1株あたり利益は、以下のように計算されます。
1株あたり利益=当期純利益÷発行済み株式数
前述したように、配当は当期純利益から支払われます。したがって、1株あたり利益が高いほど、配当も多くなると予想できます。そのため、1株あたり利益が高い銘柄ほど、株価も高くなる傾向があります。
なお式の分子の利益は、年単位で求めるものです。それに応じて、分母の発行済み株式数も、1年の平均(「期中平均」と呼びます)を使って計算されるのが一般的です。
また、現在では「金庫株」という制度があり、企業が自社の株を買って保有することもできますが、その株数を発行済み株式数から除外して計算することも行われます。
ここ数年で売上/利益が伸び、それとともに株価も上がった企業として、キャノン(7751)を見てみることにしましょう。
2000年12月期から2004年12月期の売上や利益は、表1のようになっています。これを見ると着実に上昇していることがわかります。一方、株価の動きは図4のようになっています。波はありますが、傾向としてはここ数年右肩上がりになっていることがわかります。
表1.キャノンの2000年12月〜2005年12月期の売上と利益(連結)の推移(単位:100万円)
|
年 |
2000 |
2001 |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
|
売上 |
2,696,420
|
2,907,573 |
2,940,128 |
3,198,072 |
3,467,353 |
3,754,191 |
|
営業利益 |
234,131 |
281,839 |
346,359 |
454,424 |
543,793 |
583,043 |
|
当期純利益 |
134,088 |
167,561 |
190,737 |
275,730 |
343,344 |
384,096 |
図4.キャノンの2001年以降の株価の推移
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