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トップ財務の悪い銘柄は買わない

第一章 「買える株」「買えない株」を見極める
 

財務の悪い銘柄は買わない
売上や利益などの業績とともに、資産や負債などの財務の状況をチェックすることも必要です。ここでは、財務の基本的な見方を解説します。

賃借対照表と資産/負債/資本
企業の財務は賃借対照表 に表されます。賃借対照表は企業の「資産」「負債」「資本」の関係を表した表です。

資本とは、大まかに言えば企業が持ってる財務のことです。現金/預金/他社の株式や、土地/建物/機械などが資産にあたります。また、貸し付けているお金や、商品を販売してまだ回収していない代金(売掛金)なども資産にあたります。

資産のことを「総資産」とも呼びます。例えば、Yahoo!ファイナンスの企業情報では、資産を「総資産」と表記しています。

一方負債は、大まかに言えば将来返さなければならないお金のことです。銀行からなどからの借入金や、投資家に対して発行した社債などが負債にあたります。また、商品や材料を仕入れてまだ支払っていない代金(買掛金)も、負債の一種です。

そして、資産から負債を引いた正味の資産のことを、資本と呼びます。資本は、会社の全財産のうち、返済が必要な部分を除いたものを表します。また、会社を仮に清算した場合には、資本の部分を株数に応じて株主に分配しますので、資本は株主の持分であると言えます。

このようなことから、資本のことを純資産株主資本などとも呼びます。例えば、Yahoo!ファイナンスでは、資本のことを「株主資本」と表記しています。

上の話を式にすると「資本−負債=資本」ということですが、この式を変形すると、以下の関係が成り立ちます。

この式に沿って、資産/負債/資本をまとめて表にしたものが賃借対照表になります。賃借対照表は図1のような構成になっています。

資産/負債/資本の情報も、会社四季報やインターネット等から得ることができます。例えば会社四季報の場合だと、会社四季報の図1.7の【財務】の部分に当たります。

図1.賃借対照表の構成
資本
現金、預貯金
株式、売掛金
貸付金、土地
建物、機械
など
負債
買掛金
借入金
社債
資本
資本金など

株主資本比率と有利子負債をチェックする
資産の中で資本が占める割合のことを、株主資本比率(または自己資本比率)と呼びます。式で書けば以下の通りです。

株主資本比率=資本÷資産×100(%)

例えば、資産が5000億円、資産が2500億円の企業の場合、株主資本比率は2500億円÷5000億円×100=50%となります。

負債が多い企業は、資産に対して資本が少ないことになりますので、株主資本比率が低くなります。逆に負債が少なければ資産の大半を資本が占めることになりますので、株主資本比率が高くなります(図2)。資産に対して資本が多く株主資本比率が高いほど、財務的な安全性は高いと考えられます。

負債はいずれは返さなければならないお金です。また、負債の中には、銀行からの借入金のように、利子を払わなければならないものも(有利子負債)あります。

現状では低金利の状況が続いていますので、有利子負債に対する利息も少なくて済んでいます。しかし今後金利が上昇すれば、利子の支払がかさみ、それによって利益が大幅に減ってしまうことが十分に考えられます。

したがって、株主資本比率が低く、なおかつ有利子負債の割合が大きい企業は、短期的にはともかく、長期で考えればあまり買わない方が良いと思われます。

図2.資産の中で資本の占める比率が高いほど株主資本比率も高い
資産
負債
資本

資産の中で資本が
占める割合が高い

株式資本比率が高い

財務的に安定

資産
負債
資本

資本の中で資本が
占める割合が低い

株式資本比率が低い

財務的に不安定


株式資本比率が高ければ良いというものでもない
一方株式資本比率が高ければ直ちに買いと言えるかというと、それだけでは判断できません。いくら株主資本比率が高くても、その資本を有効に活用していなければ、今後の成長は見込めないからです。

株主資本比率がある程度高くて、なおかつ将来への対策をしっかりとしている企業なら、買っても良いと考えられます。

望ましい株主資本比率は、企業の業種や生い立ち等によって異なりますので一概には言えませんが、少なくとも30%程度は欲しいところです。できれば50%以上が良いでしょう。

ただ中には、株主資本比率は非常に高いものの、預貯金等でひたすら溜め込んで、ほとんど活用していない企業もあります。そういった企業の株は、買うべきではないでしょう。

企業の資産の内訳は、書籍の会社四季報には掲載されていません。詳しく調べるには、その企業の有価証券報告書という書類を入手します。金融庁の「EDINET」を使うと、各企業の有価証券報告書を入手でき、その中に賃借対照表の情報があります。

また、多くの企業では、自社のホームページのIRコーナーから有価証券報告書をダウンロードできるようになっています。

日本企業の株主資本比率の傾向
かつての日本企業は、銀行から資金を借り入れして設備投資等を行い、それによって成長するというサイクルを持っていました。しかし、1980年代のバブルが崩壊し、日本が成熟社会になって高成長が期待できなくなるにつれて、企業は設備投資を抑えて、負債を返済する方向に進みつつあります。

そのため、日本の企業を全体的に見れば、株主資本比率は徐々に上昇する傾向にあります。ただ、歴史があって日本を代表するような大企業では、株主資本比率は低いところもあります。特にゼネコンや大手電気メーカーは株主資本比率が低くなっています。

一方、新興企業は株式で資金調達することが増えているため、株主資本比率が高いところが多くなっています。

ただし有利子負債は会社の規模や業種によって異なりますので、単純に額の大小を比較しても意味がありません。負債がその会社の体力以上に過大なものになっているのかどうか、過去数期せみた場合に増えているのか減っているのか、資産や資本に対する有利子負債の比率を同業他社と比較して大きいか小さいか、などを見るようにします。

現時点では株価の動きも好調なので、有利子負債が多いことはやや忘れられている感があります。しかし、今後利益を出しにくくなってくると思われますので、株価に影響することが予想されます。

図3.主な日本企業の株主資本比率
(連結、2006/02/07調べ)

企業
株主資本比率
鹿島(1812)
13.4%
キリンビール(2503)
49.8%
武田薬品工業(4502)
77.8%
ヤフー(4689)
75.8%
新日本製鐡(5401)
35.2%
松下電器産業(6582)
44.8%
トヨタ自動車(7203)
36.9%
三菱地所(8802)
31.6%
東京電力(9502)
19.1%

その他の指標
財務の安定性をより本格的に判断するなら、以下のような指標も見ておくと良いでしょう。
流動比率=流動資産÷流動負債×100(%)

当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)

固定比率=固定資産÷株主資本×100(%)
                                     成長中で株価収益率(PER)が狙い目はこちらへ
 
目次
第一章 「買える株」「買えない株」を見極める
ファンダメンタル分析とテクニカル分析
会社四季報の基本的な見方
売上や利益の伸びている銘柄を選ぶ
財務の悪い銘柄は買わない
成長中で株価収益率(PER)が狙い目
経営効率の良い銘柄を選ぶ
株価純資産倍率(PBR)も目安にする
買収ターゲットになりそうな銘柄を探す
さまざまな要因を考慮して銘柄を選ぶ
スクリーニングで良い銘柄を見つける

第二章 株価チャートの基本をマスターする
株価チャートの見方
一本のローソク足の意味とタイミング
複数本のローソク足の組み合わせと売買タイミング
株価と出来高の関係
株価の傾向(トレンド)と抵抗線/支持線
株価チャートのパターン

第三章 移動平均線を使いこなして売買タイミングを読む
移動平均線はテクニカル分析の基本
グランビルの法則で売買タイミングを読む
ゴールデンクロスとデッドクロスは参考程度
移動平均の最適な計算時間を選ぶ
株価と移動平均線との離れ具合

第四章 着実に賢く儲ける基本戦術
「リスク」をなるべく軽減する
株式ポートファリオを組む
勝ち負けの差を小さくする
トレンドに沿って売買する
値動きの良い銘柄を選ぶ
短期売買と長期投資のどちらが良い
得意な銘柄を作る
損切りできない人は儲けられない
逆指値を使いこなそう
税金対策を考えてみよう
リバウンド狙いの短期勝負
 
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