株式の売買で利益が出ると、税金(所得税と住民税)がかかります。利益を伸ばすためには、税金をできるだけ抑える対策も取っておきたいところです。
まずは、株の税金の基本を簡単にまとめておきます。
●特定口座と一般口座
証券会社の口座には、「特定口座」と「一般口座」があります。また、特定口座には源泉徴収あり/となしの2種類から選択できます。
多くの方は、源泉徴収ありの特定口座を選んでいると思います。この場合、株の売却で利益が出るの度に、証券会社が税金を源泉徴収してくれます。一年を通してトータルで利益なら源泉徴収で税金関係は終了し、確定申告は不要です。
一方源泉徴収なしを選択した場合、年間通して利益が出た場合は、翌年の2月16日〜3月15日に確定申告して、税金を自分で納める必要があります。
源泉徴収のあり/なしは、毎年の最初の売り注文までなら、変更することができます。一度選んだ方法は、その一年間は変えることはできません。変更の手順は個々の証券会社で異なりますので、証券会社にお尋ねください。
特定口座の場合、確定申告の時期になると、証券会社から「特定口座年間取引報告書」という書類が送られてきます。この書類には、年間を通した損益が記載されていますので、それを元にして確定申告を行うことができます。
一方一般口座の場合も、利益が出れば確定申告をすることが必要です。ただし、年間を通した損益は自分で計算する必要があります。
なお、税率は口座の種類に関係なく、2007年(平成19年)末までは合計10%(所得税7%/住民税3%)で、それ以後は20%(所得税15%/住民税5%)です。例えば、年間の利益が100万円とすると、2007年までは10万円(=100万円×10%)、それ以後は20万円(=100万円×20%)の税金がかかります。
●損失が出た場合
年間を通して損失が出た場合は、口座の種類に関係なく、確定申告をすることでその損失を翌年以降3年にわたって繰り返すことができ、その3年間の利益と通算して、税金を減らすことができます(損失の繰越控除)。
また、複数の証券会社を使っていて、ある会社では利益、別の会社では損失になった場合、確定申告すればそれらの損失を通算することができます。
利益が出ている株と損失が出ている株がある場合は、「合わせ切り」という方法を取ることがかんがえられます。合わせ切りとは、利益の出ている株と損失の出ている株の両方を売ることです。合わせ切りをすれば、利益と損失が相殺されて課税対象が減りますので、税金を抑えることができます。
例えば、AとBの2銘柄を持っていて、Aは30万円の含み益、Bは20万円の含み損になっているとします。ここでAだけを売って年間の取引を終えたとすると、30万円の利益すべてが課税対象になり、2007年までなら3万円、それ以後は6万円の税金がかかります。
一方AとBの両方を売れば、30万円の利益と20万円の損失が相殺され、トータルでは10万円の利益になります。そのため、この10万円が課税対象になり、2007年までなら1万円、それ以後なら2万円の税金で済みます。
上で述べたように、2008年からは株式に対する税金が20%に上がる予定になっています。そのため、今持っている株式を2008年以降まで持ち続けてそれから売ると、利益の20%が課税されます。一方2007年中に売っておけば、それまでの利益に対しては10%の課税で済みます。
そこで、長期で持ち続けるつもりの株式があって、利益も乗っているなら、2007年中にいったん売却して、すぐに買いなおすようにすることをお勧めします。こうすると、税金を抑えることができます。
例えば、過去に100万円で買った株式があったとします。そして、2007年末にその株式が200万円に値上がりし、2008年末にはさらに値上がりして300万円になるとします。
2008年末まで持ち越して売却すると、200万円の利益(=300万円−100万円)に対して20%の課税になりますので、税金は40万円になります。
一方、2007年末でいったん売って買いなおし、その後2008年末に売るとします。この場合、2007年までの利益は100万円(=200万円−100万円)で、そこまでの税率は10%ですので、税金は10万円です。そして、2008年末に売った時点では、利益は100万円(=300万円−200万円)で、それに対して20%の課税なので、税金は20万円です。したがって、トータルでは30万円(=10万円×20万円)の税金で済み、10万円の税金を節約できます。
特定口座を使って株式を取引している方は多いと思います。また、特定口座には前述したように「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類がありますが、「源泉徴収あり」にしておくと、利益が出ても自分で確定申告しなくても良いので、こちらを選んでいる方が多いのではないのではないかと思います。
ただ、「源泉徴収なし」にすることで、利益をより伸ばすことができる可能性があります。「源泉徴収あり」だと、株式を売却するたびの、利益がでていれば税金が源泉徴収され、その分の資金が減ります。
しかし、「源泉徴収なし」にしておけば、課税を繰り延べて、確定申告の時間までその分の資金を利用することができますので、利益を伸ばすことができる可能性があるわけです。
●税率10%の場合の計算例
具体的な計算例をあげてみましょう。まず、税率が10%の場合で計算します。2ヶ月ごとに1銘柄ずつ売買を行い(年6回の売買)、1回につき10%の利益を上げるものとします。また、最初の資金は100万だとします。
源泉徴収ありにした場合は、表1のようにないます。10分の1の1%が源泉徴収されるので、実質的には1回あたり9%の利益という計算になります。6回の売買を終えた時点で、資金は1,677,100円になります。
一方、源泉徴収なしにした場合は、表2のようになります。6回の売買が終わった時点で資金は1,771,561円になり、利益は771,561円です。その利益の10%の77,156円を税金として支払いますので、最終的に残る資金は1,694,405円になります。源泉徴収ありの場合に比べて、17,305円(=1,694,405円−1,677,100円)利益が増えたことになります。
表1.税率10%で源泉徴収ありの場合
|
回 |
利益 |
資金 |
|
1 |
1,000,000円×9%=90,000円 |
1,000,000円+90,000円=1,090,000円 |
|
2 |
1,090,000円×9%=98,100円 |
1,090,000円+98,100円=1,188,100円 |
|
3 |
1,188,100円×9%=106,929円 |
1,188,100円+106,929円=1,295,029円 |
|
4 |
1,295,029円×9%=116,553円 |
1,295,029円+116,553円=1,411,582円 |
|
5 |
1,411,582円×9%=127,042円 |
1,411,582円+127,042円=1,538,624円 |
|
6 |
1,538,624円×9%=138,476円 |
1,538,624円+138,476円=1,677,100円 |
表2.税率10%で源泉徴収なしの場合
| 回 |
利益 |
資金 |
| 1 |
1,000,000円×10%=100,000円 |
1,000,000円+100,000円=1,100,000円 |
| 2 |
1,100,000円×10%=110,000円 |
1,100,000円+110,000円=1,210,000円 |
| 3 |
1,210,000円×10%=121,000円 |
1,210,000円+121,000円=1,331,000円 |
| 4 |
1,331,000円×10%=133,100円 |
1,331,000円+133,100円=1,464,100円 |
| 5 |
1,464,100円×10%=146,410円 |
1,464,100円+146,410円=1,610,510円 |
| 6 |
1,610,510円×10%=161,051円 |
1,610,510円+161,051円=1,771,561円 |
| 課税前利益合計 |
1,771,561円−1,000,000円=771,561円 |
| 税金 |
771,561円×10%=77,156円 |
| 課税後利益合計 |
771,561円−77,151円=694,405円 |
| 最終的な資金 |
1,000,000円+694,405円=1,694,405円 |
●税率20%の場合の計算例
先ほどの例と同じ条件で、税率が20%になった場合も計算してみました。
すると、源泉徴収なしにした場合、最終的な資金は1,586,874円になりました。一方、源泉徴収なしにした場合、最終的な資金は1,617,249円になり、源泉徴収ありの時に比べて30,374円利益が増えます。
●損失が多いと逆効果になる場合もある
ここまでは、すべての売買で利益がでるものとして計算しました。その場合は、ここまでの結果からわかるように、源泉徴収なしの方が最終的な利益が伸びます。
しかし、常に勝ち続けることはまずあり得ず、失敗して損失が出ることもあります。その場合ば、源泉徴収なしにするとかえって資金が減ることもあります。税金を繰り延べて元手が大きくなっている分、損失になるとその額も大きくなるので、資金がより減ることもあります。この点に注意が必要です。
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